2007年01月25日
視察報告(16) KILDERARKSCENTRET
所在地 デンマーク ネストベ市
訪問日時 2006年8月31日
案内者 Pia Mortensenさん(施設職員の女性)
同行者 Martin Tangeさん(ネストベ市職員)
駅から車で30分ほど行ったところにKILDERARKSCENTRETはある。住宅地の中に立地し、2002年に開所した新しい建物である。ネストべ市にはこのような施設を5つ存在するという。その新しさ故、まだソフト面が十分に整っていない印象が大きかった。
図1 2階建ての棟より。 図2 施設の模型。
奥にはのどかな風景が広がる。 1棟を除く4棟が平屋建てである。
1. 施設概要
居室数 80戸 (11戸×4ユニット,12戸,24戸)
(一部は夫婦用の2人部屋。それ以外はすべて個室。)
開所年次 2002年
介護職員数 約90名
2. サービス、ケアの提供体制
ケアは1日3交替、24時間体制で行われている。介護職員らは7:00~15:00、15:00~23:00、23:00~7:00の3つのパートに分かれケアにあたる。約80名の入居者に対し約30名の職員でケアを行う。開設して間もないせいか職員数が十分に確保されていない。施設長のUrsulaさんは「もっと増やす必要がある」と話していた。
施設中心部にはトレーニングセンターを含む棟があり、作業療法や理学療法などによる機能維持・機能回復訓練が行われる。しかしトレーニングを行う専門職員を外部に依存しているため、十分にトレーニングを行えていない。
3. 入居者の状態
入居者の50%に認知症が見られる。このうちの20%(全体の10%)は重度の認知症を抱えている。身体機能の状態は、杖を使っての歩行が可能な人、車イスの人など多様である。多くの入居者は排泄・入浴の介助を要するが、食事介助は見られなかった。介助を必要としながらも自分の意思で日常生活を営んでいる様子がうかがえた。
4. 日中活動
トレーニングセンターには、ビリヤード台、ダーツなどの娯楽設備やジム、手芸室、美容室などがあり、広々としたスペースがとられていた。この設備は入居者のみが使用できる。専属の作業療法士や理学療法士などは設置しておらず、アクティビティはボランティアの協力の下行うことが多い。しかし開所して間もないためボランティアが不足している。
図3 トレーニングセンターの設備 図4 入り口近くにあるカフェ
5. 建築的特徴
廊下や、リビング・ダイニング、トレーニングセンター等のスペースが広々ととられていたことがこの施設の大きな特徴である。
施設は分棟配置であり、全部で5つの棟がある。中心にオフィスやトレーニングセンターやカフェ、会議室等がある建物。それを囲むようにして居住棟が配置される。1つの棟を除くとあとは全て平屋であった。(図2)すべてドアはセンサー式(入り口手前のボタンを押すと開く)であり、手に力がなくても開けられるようになっている。
各部屋にはミニキッチン・バス、クローゼットが備え付けてある。キッチンはシンクが上下には動かないが、下部に十分なスペースが確保され車イスでも十分に使えるようになっていた。皿や家具などは自分のものということだった。
図5,6 十分な幅の取られた廊下。
図7 入居者の部屋 図8 居室内のミニキッチン。
6. 考察
建築的な広さや設備の立派さ等に関しては非常に配慮がなされた計画である。しかし職員数や、ボランティアが根付いていない等、労働力不足の問題があるために、居住者の住みやすさは実現できない。Piaさんのケアにつき見学させてもらっていたが、とても慌しく、施設職員の負担は大きい。2階からオムツを落として捨てることのできるシューターなど労力を軽減するための設備もあった。
「行動スペースの余裕」とともに、「職員の気持ちの余裕」も重要である。
訪問日時 2006年8月31日
案内者 Pia Mortensenさん(施設職員の女性)
同行者 Martin Tangeさん(ネストベ市職員)
駅から車で30分ほど行ったところにKILDERARKSCENTRETはある。住宅地の中に立地し、2002年に開所した新しい建物である。ネストべ市にはこのような施設を5つ存在するという。その新しさ故、まだソフト面が十分に整っていない印象が大きかった。
図1 2階建ての棟より。 図2 施設の模型。
奥にはのどかな風景が広がる。 1棟を除く4棟が平屋建てである。
1. 施設概要
居室数 80戸 (11戸×4ユニット,12戸,24戸)
(一部は夫婦用の2人部屋。それ以外はすべて個室。)
開所年次 2002年
介護職員数 約90名
2. サービス、ケアの提供体制
ケアは1日3交替、24時間体制で行われている。介護職員らは7:00~15:00、15:00~23:00、23:00~7:00の3つのパートに分かれケアにあたる。約80名の入居者に対し約30名の職員でケアを行う。開設して間もないせいか職員数が十分に確保されていない。施設長のUrsulaさんは「もっと増やす必要がある」と話していた。
施設中心部にはトレーニングセンターを含む棟があり、作業療法や理学療法などによる機能維持・機能回復訓練が行われる。しかしトレーニングを行う専門職員を外部に依存しているため、十分にトレーニングを行えていない。
3. 入居者の状態
入居者の50%に認知症が見られる。このうちの20%(全体の10%)は重度の認知症を抱えている。身体機能の状態は、杖を使っての歩行が可能な人、車イスの人など多様である。多くの入居者は排泄・入浴の介助を要するが、食事介助は見られなかった。介助を必要としながらも自分の意思で日常生活を営んでいる様子がうかがえた。
4. 日中活動
トレーニングセンターには、ビリヤード台、ダーツなどの娯楽設備やジム、手芸室、美容室などがあり、広々としたスペースがとられていた。この設備は入居者のみが使用できる。専属の作業療法士や理学療法士などは設置しておらず、アクティビティはボランティアの協力の下行うことが多い。しかし開所して間もないためボランティアが不足している。
図3 トレーニングセンターの設備 図4 入り口近くにあるカフェ
5. 建築的特徴
廊下や、リビング・ダイニング、トレーニングセンター等のスペースが広々ととられていたことがこの施設の大きな特徴である。
施設は分棟配置であり、全部で5つの棟がある。中心にオフィスやトレーニングセンターやカフェ、会議室等がある建物。それを囲むようにして居住棟が配置される。1つの棟を除くとあとは全て平屋であった。(図2)すべてドアはセンサー式(入り口手前のボタンを押すと開く)であり、手に力がなくても開けられるようになっている。
各部屋にはミニキッチン・バス、クローゼットが備え付けてある。キッチンはシンクが上下には動かないが、下部に十分なスペースが確保され車イスでも十分に使えるようになっていた。皿や家具などは自分のものということだった。
図5,6 十分な幅の取られた廊下。
図7 入居者の部屋 図8 居室内のミニキッチン。
6. 考察
建築的な広さや設備の立派さ等に関しては非常に配慮がなされた計画である。しかし職員数や、ボランティアが根付いていない等、労働力不足の問題があるために、居住者の住みやすさは実現できない。Piaさんのケアにつき見学させてもらっていたが、とても慌しく、施設職員の負担は大きい。2階からオムツを落として捨てることのできるシューターなど労力を軽減するための設備もあった。
「行動スペースの余裕」とともに、「職員の気持ちの余裕」も重要である。
Posted by aya at 17:33│Comments(0)
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