2006年09月23日
視察報告(10)Kustaankartano(8/25訪問)
Kustaankartano
所在地 フィンランド ヘルシンキ市
訪問日時 2006年8月25日(金) 10:00~12:00
案内者 施設職員の女性
同行者 Arto Haapaniemi (Helsinki Polytechnicの教授)
Arto Jyrara (Helsinki Polytechnicの学生)
・入居者数 615人
・建築年次 1922年 (1996年~改修が行われる)
建物外観
1. サービス・ケアの提供体制
看護士及びその下で働くケアスタッフの人数は400人ほどである。各棟ごとに、3交代24時間体制でケアにあたる(7:00-13:30 13:30-21:00 21:00-7:00)。
医師は2人(常駐ではない)であるが、更に多くの医師が必要との話だった。
2. 入居者の状態
入居者の70%は認知症を伴う高齢者である。平均年齢は83歳、男女比率は男性2:女性8ある。夫婦での入居は、入居者615人中3,4組にとどまっている。このサービスハウスは終の棲家となる施設であり、入居者の平均入居期間(=入居から亡くなるまでの期間)は、平均で4.4年だという。
この施設では栄養管理面にとても気を使っていた。というのも過去に行われた調査で、入居のなかで栄養失調になってる人が多いことが判明した。それから提供される料理の栄養管理に力を入れたところ、ここ数年で入居できる人の制限が厳しくなったにもかかわらず、亡くなる人の数は減少したという。(3年前の調査では年に160人が亡くなっていたが、最近の調査では130人となっている。)
また、リハビリ施設としての利用もされている。
病院に長期入院していた高齢者が、在宅生活へ戻るために2,3ヶ月入居し、アクティビティを通して訓練を行うのである。
一入居者の居室
3. 建築的特徴
○全体配置
建物は合計8棟。入居者の状態により棟が分かれており、精神疾患をもつ人、身体的障害の重い人、それぞれの専用棟もある。レストランもあるが、普段入居者は各ユニットで食事をする。
敷地は手入れされた雑木林に囲まれている。1996年の改修の際には、外部空間に新たにパーゴラや、パーティやグリルができる場も設けられた。 訪れた際、車椅子で敷地内を散歩する人や、屋外でのアクティビティを目にした。
照明設計にも気を使っており、改修を行うごとに照明の質もどんどん良くなっているとのこと。
手入れが行き届いた、敷地を囲む雑木林
外部の活動場所
○共用空間
ユニット内のダイニングでは家にいるときのように食事ができるようにと工夫がされていた。自分で食べる場所を選択できるくらい、テーブルはゆったりと置かれている。食事も自分で鍋から取り分けるようにし、それが隣の人を手伝うなどの行動にもつながる。
共用空間には、スタッフの小さいころの写真が飾られていた。そして誰が何時に出勤するかが一目でわかるよう、ホワイトボードにカラフルに書かれていた。
認知症のユニットでは、テラスにある花の水やりなどの役割が与えられている。
ユニット内のホワイトボード。スタッフの出勤時間が書かれてある。
5. 考察
ここで特筆すべき点は、栄養失調についての調査が行われ、栄養についての研究とその成果があげられたことである。入居基準を抜かしても、約2割の年に亡くなる人が減少している。食事、栄養管理の重要さがわかる。
また強調していたのが、「家のように」、「家族のように」という言葉あった。
スタッフは「サービスする」という考えでなく、「共に住む」という考えをもっている。そのことが共用空間の写真や、ホワイトボードを見ても感じられた。
そして自然豊かな敷地を活かした設えが、居住者の外部での活動が促していると言える。
所在地 フィンランド ヘルシンキ市
訪問日時 2006年8月25日(金) 10:00~12:00
案内者 施設職員の女性
同行者 Arto Haapaniemi (Helsinki Polytechnicの教授)
Arto Jyrara (Helsinki Polytechnicの学生)
・入居者数 615人
・建築年次 1922年 (1996年~改修が行われる)
建物外観
1. サービス・ケアの提供体制
看護士及びその下で働くケアスタッフの人数は400人ほどである。各棟ごとに、3交代24時間体制でケアにあたる(7:00-13:30 13:30-21:00 21:00-7:00)。
医師は2人(常駐ではない)であるが、更に多くの医師が必要との話だった。
2. 入居者の状態
入居者の70%は認知症を伴う高齢者である。平均年齢は83歳、男女比率は男性2:女性8ある。夫婦での入居は、入居者615人中3,4組にとどまっている。このサービスハウスは終の棲家となる施設であり、入居者の平均入居期間(=入居から亡くなるまでの期間)は、平均で4.4年だという。
この施設では栄養管理面にとても気を使っていた。というのも過去に行われた調査で、入居のなかで栄養失調になってる人が多いことが判明した。それから提供される料理の栄養管理に力を入れたところ、ここ数年で入居できる人の制限が厳しくなったにもかかわらず、亡くなる人の数は減少したという。(3年前の調査では年に160人が亡くなっていたが、最近の調査では130人となっている。)
また、リハビリ施設としての利用もされている。
病院に長期入院していた高齢者が、在宅生活へ戻るために2,3ヶ月入居し、アクティビティを通して訓練を行うのである。
一入居者の居室
3. 建築的特徴
○全体配置
建物は合計8棟。入居者の状態により棟が分かれており、精神疾患をもつ人、身体的障害の重い人、それぞれの専用棟もある。レストランもあるが、普段入居者は各ユニットで食事をする。
敷地は手入れされた雑木林に囲まれている。1996年の改修の際には、外部空間に新たにパーゴラや、パーティやグリルができる場も設けられた。 訪れた際、車椅子で敷地内を散歩する人や、屋外でのアクティビティを目にした。
照明設計にも気を使っており、改修を行うごとに照明の質もどんどん良くなっているとのこと。
手入れが行き届いた、敷地を囲む雑木林
外部の活動場所
○共用空間
ユニット内のダイニングでは家にいるときのように食事ができるようにと工夫がされていた。自分で食べる場所を選択できるくらい、テーブルはゆったりと置かれている。食事も自分で鍋から取り分けるようにし、それが隣の人を手伝うなどの行動にもつながる。
共用空間には、スタッフの小さいころの写真が飾られていた。そして誰が何時に出勤するかが一目でわかるよう、ホワイトボードにカラフルに書かれていた。
認知症のユニットでは、テラスにある花の水やりなどの役割が与えられている。
ユニット内のホワイトボード。スタッフの出勤時間が書かれてある。
5. 考察
ここで特筆すべき点は、栄養失調についての調査が行われ、栄養についての研究とその成果があげられたことである。入居基準を抜かしても、約2割の年に亡くなる人が減少している。食事、栄養管理の重要さがわかる。
また強調していたのが、「家のように」、「家族のように」という言葉あった。
スタッフは「サービスする」という考えでなく、「共に住む」という考えをもっている。そのことが共用空間の写真や、ホワイトボードを見ても感じられた。
そして自然豊かな敷地を活かした設えが、居住者の外部での活動が促していると言える。
Posted by aya at 17:48│Comments(0)
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